願掛け
2015年3月3日・火曜日

国学発祥の地の標記もある神田神社。仕事運を授かる都内有数のパワースポットだとか。
私たちの世代なら、銭形平次の神田明神と言ったほうが、通りやすいですね。
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お茶の水駅近辺の宿はどこも受験生でいっぱいでしたので、今回は、神田神社近くのホテルに宿泊しました。
感心なことに、通りかかる人(通勤や通学)は、だれもが境内を通って、参拝して行きます。参拝が、日常に組み込まれている様子に驚きました。
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境内に数カ所ある絵馬所には、願掛けが、たわわです。
「志望校に合格しますように」「研究が進みますように」「TOEFL90を超えますように」…… どれもが、人の手によるものです。表側は神田神社が印刷したものですが、裏側は、祈願する人が手書きした言葉と手描きした絵ばかりです。
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PCによる書記が、絵馬に迫ってくるのは、いつのことでしょうか。
絵馬は、手書きの聖地なのでしょうか。
要観察のスポットです。
感動か、技術か
2015年2月14日・土曜日

「育シリーズ2014」に参加した放虎原小学校5年2組(38人)の児童が書いた「手紙」を読ませてもらいました。
素晴らしい、の一語に尽きます。
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@ ひとつも、物真似がない 。(コピペがない。自分
の体験が具体的に書いてある。)
A 「書くことがない」と困った気配がない。(量が
多い。話題が多い。)
B 紙面がきれい。(文字が丁寧。イラストやデザイ
ンが凝っている。)
インフルエンザなどで本番に出られなかった児童の「手紙」の迫力が、いっそう強烈なのです。
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何がそうさせるのか。
月並みな結論ですが、以下の通りです。
この手紙は、目的意識、相手意識、場面意識が明確だからです。
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つまりこうです。
目的意識とは、今回の場合、イベント本番に向けた準備や指導に関する感謝の気持ちを伝えたいという意識です。
相手意識とは、イベント準備期間(11 〜1月末)に一緒に過ごした長崎大学の劇チーム(鈴木ゼミ4年生6人)に宛てるという意識です。
場面意識とはこうです。本番までの3ヶ月は、イベント準備の期間であるとことと、毎週、来てくれる劇チームは卒論執筆とを併行させていたことを心配する意識です。さらに、劇チームは、あと少しで卒業する。この「手紙」は、そのはなむけにもなるという意識です。
以上から、児童(38人)の「手紙」の内容は、上記@〜Bの特徴を具えた生き生きとした文面となっていました。
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役名 おばあちゃん(第1場面)
私は、役決めの時に、みんながどんどん決まっていく中で、何も役がありませんでした。黒板には、そ父・そ母の名前だけがのこっていました。ちょうど、となりの席が、おじいちゃん役になったまひろさんでした。その時、まだ役が決まっていなかったまひろさんに、「いっしょにおばあちゃんとおじいちゃん役しない?」と声をかけたら、「いいよ!」といってくれました。名前を書いた時は、私もまひろさんもおもしろがっていました。
私は、1週間もかからない間にセリフをおぼえたけれど、まひろさんのセリフが長かったので、よくおぼえたねえと思いました。そして、毎週金曜日に大学生がくるようになっていきました。
1の場面は榊さんがおしえてくれることになりました。1回目〜3回目ぐらいまでは、アドバイスをくれたり、私たちの質問などに答えてくれました。げきの本番の日が近くなると、1の場面でげきを1回通してやるだけになってきました。
あとは、私は3の場面の民しゅうなので、3の場面を見ることになりました。
そして、球根や背景なども本格的できれいになって、大学生のみなさんは20分間だけのげきのために、こんなにすてきなものをつくってくれてるんだなと思いました。(後略)
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「手紙」の型を踏んだものは、ゼロです。誤字脱字、文の不整合などが散見します。
しかし、この「手紙」は、読む者を強く引きつけます。
つまり、文章を産出するという行為の原動力は、書きたいと思う内容を持つことです。
さらに、書きたいと思う内容を持つためには、身体を動かし、心を動かし、脳を動かす経験が必要なのです。
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4月からも、新4年生に対して、卒論指導をしていきます。
まずは、この「手紙」から何がわかるかということを検討するところから始めようと思います。